岡本文弥作品年表
岡本文弥はその生涯に300曲もの新作新内を創作・発表しました。国内外の話題の文学を原作にしたものや、気鋭の舞踊家との共同作業による新しい試みであった「新内舞踊」のための作品、反戦・平和のメッセージを込めた作品など、文弥の新作新内にはそれぞれの時代の空気が色濃く反映されています。
(素語り用浄るりが一ばん多いわけですが踊り用のもの、小曲をも含みます。特に作詞者の名前のないものは詞曲とも文弥に依る)
なお、洩れたるもの幾つかあるらしいけれど取り立てる程のものにあらず。大正7年より昭和46年に至る約54年間の作品およそ二百五十、その中★印のついているもの三十余が常に演奏され、稽古にも使われている。依ってまたその中の幾つかが後世へ伝承されるということでありましょうか。このほか小さい曲、短かい曲、幾つかあったかもしれず。すでに「作る」よりも「練る」(ねる)ことに楽しみあるよわいとなりぬ。自作他作に限らず古きものを練っていよいよ美しきものにしたい。新作はなるべくたくさんのひとに演奏して貰い、たくさんのひとに聴いて頂くことが理想ですが今のところ私の作品は私が演奏するのがいちばん生きるらしく、社中門人もあれこれ演奏して古曲では全く馴染んでこない人たちに喜ばれたり、古くからの愛好家にも受けたりするのです
昭和50年刊行 岡本文弥『文弥芸談』作品年表より
弥次喜多あべ川 (富本より) 大正7年ー
塩原多助馬の別れ 大正11、12年ごろ
恋の辻占 (森曉紅作詞) 大正11、12年ごろ
小野先生 大正11、12年ごろ
金沢情話 大正13年ー
北陸道中記 大正13年ー
五人廻し (落語より) 大正14年2月
秘薬紫雪 (竹久夢二原作より) 大正14年2月
酒中日記 (国木田独歩原作より) 大正14年3月
生きる悲哀 (椎名竜徳原作より) 昭和4年7月
死線を越えて (賀川豊彦原作より) 昭和4年7月頃か?
磔茂左衛門 (藤森成吉原作より) 昭和4年〜5年
西部戦線異状なし(外国ダネ) 昭和4年〜5年
アジアの嵐 (外国ダネ) 昭和4年〜5年
ほえろ百姓 昭和4年〜5年
蜂起 (藤森成吉原作より) 昭和4年〜5年
何が彼女をそうさせたか (藤森成吉原作より) 昭和4年〜5年
太陽のない街 (徳永直原作より) 昭和4年〜5年
母 (ゴーリキー原作より) 昭和4年〜5年
ある日の良寛 昭和5年8月
弥次喜多・農村の巻 昭和5年10月
唐人お吉 (後、破れ傘のお吉) 昭和5年12月
弥次喜多・煙突男の巻 昭和6年7月
三人のふとっちょ (プーク人形劇) 昭和6年10月
生きている小平次 (鈴木泉三郎原作より) 昭和6年11月
口さきばかりじゃダメだ実行しろ (プーク人形劇) 昭和7年1月
赤いろうそくと人魚 (小川未明作品、人形劇) 昭和8年11月
古暦酔月哀話 (福原雨六作詞) 昭和9年7月
藤十郎の恋 (菊池寛原作より) 昭和9年9月
春宵下田草紙 昭和10年5月
娼妓解放・何をくよくよ 昭和10年10月
人はどれだけの土地を要するか (トルストイ) 昭和10年10月
闇の力 (トルストイ) 昭和10年10月頃か?
小曲唐人お吉 (舞踊発表) 昭和11年ー
小曲滝の白糸 (舞踊発表) 昭和11年ー
噫無情 (外国ダネ) 昭和12年1月
お吉人情本 (藤蔭靜枝初演) 昭和12年2月
猿飛佐助 (舞踊発表) 昭和12年2月
どっこいその手は (新興宗教諷刺) 昭和12年4月
お伝人情本 (花園歌子初演) 昭和12年8月
お梅人情本 (東日出子初演) 昭和12年8月
つんつん夫婦 (子供の踊り) 昭和12年9月
★加賀の千代 (小原喜三郎作詞・舞踊発表) 昭和12年9月
★人生劇場 (花園歌子初演) 昭和12年9月
★一茶 (小原喜三郎作詞・藤間勘妙初演) 昭和12年12月
新版平家物語 (花柳寿太八初演) 昭和12年12月
円朝花火 (正岡容作) 昭和13年3月
米八葛飾絵巻 (森暁紅作・藤蔭靜枝初演) 昭和13年3月
切られお富 (沢村香之祐円演) 昭和13年4月
野崎の夕暮 (中川愛氷作詞・藤間勘妙演) 昭和13年5月
組曲道中双六 (藤間勘妙演) 昭和13年10月
まりつき良寛 (藤間勘妙演) 昭和13年11月
馬と兵隊 (藤間勘妙演) 昭和13年11月
五大力 (高沢初風作詞・花柳徳喜三演) 昭和13年11月
田之助 (橘小夢作詞・松本幸子演) 昭和13年11月
忍び出征 昭和14年1月
二筋道 (森暁紅作詞) 昭和14年3月
うま・はと・そして軍用犬 (正岡容作) 昭和14年3月
お吉名残酒 (藤間勘妙初演) 昭和14年3月
★小ぞうあんま (須田つや子初演) 昭和14年3月
蚤と子供 (須田つや子初演) 昭和14年3月
灸 (鶯亭金升作詞・藤間勘妙演) 昭和14年3月
梅 (田巻敏夫作詞・花柳徳喜三演) 昭和14年3月
八重桜 (山崎青雨作詞・藤間勘妙演) 昭和14年3月
★富本豊志賀 (円朝原作より) 昭和14年7月
おきぬ (外国ダネ) 昭和14年8月
竜泉寺あけくれ (一葉日記より・藤間勘妙演) 昭和14年8月
お使い小ぞう (須田つや子演) 昭和14年8月
風流水芸師 (水木歌寿栄初演) 昭和14年8月
土佐の秋 (「小島の春」より) 昭和14年12月
久米千人発心記 (藤間勘妙演) 昭和14年12月
改作磔茂左衛門 (口語体に依る) 昭和14年12月
★行倒れ淀君 (岡本宮子行状記) 昭和14年12月
鬼の念仏 (渥美清太郎詞・坂東三津美演) 昭和15年1月
はちす花咲く・日朗法師 (藤間勘妙演) 昭和15年3月
野毛の夜桜 (渥美清太郎詞・若柳会演) 昭和15年3月
愛炎 (浜村米蔵作詞・松賀緑演) 昭和15年4月
狐と喜多八 (藤間勘妙・須田つや子演) 昭和15年4月
旧悪 (ベルスより) 昭和15年6月
浪子 (松賀緑演) 昭和15年6月
★宮古路豊後掾 (清見睦郎原作より) 昭和15年7月
鏡花・歌行灯の幻想 (水木歌寿栄演) 昭和15年8月
大仏開眼 (長田秀雄原作より・藤間勘妙演) 昭和15年8月
残菊物語 (松村梢風原作・松賀緑演) 昭和15年9月
海の幸 (田巻敏夫作詞・松島千恵演) 昭和15年10月
二人葛の葉 (池谷作太郎作・水木歌寿栄演) 昭和15年12月
おつるどこゆく (舞踊発表) 昭和16年2月
★ふるあめりか (横浜遊女亀遊の死) 昭和16年3月
建設 (御祝儀もの) 昭和16年4月
青の洞門 (菊池寛作品より) 昭和16年5月
鏡花・白鷺 (水木歌寿栄演) 昭和16年6月
お伝夜の雨 (正岡容詞・花園歌子演) 昭和16年7月
にごりえ (樋口一葉原作より) 昭和16年12月
兎二題 (藤間勘妙演) 昭和16年12月
月夜の河童 (須田つや子演) 昭和16年12月
★芭蕉 (藤間勘妙演) 昭和16年12月
魚籃観音 (平山蘆江詞・松賀緑演) 昭和16年12月
たけくらべ (高篤三詞・花園歌子演) 昭和16年12月
にごりえ (正岡容詞・花園歌子演) 昭和16年12月
孝女白菊 (舞踊発表) 昭和16年12月
★春霞由良湊 (松賀緑演) 昭和17年2月
淡路人形 (二上り新内・舞踊発表) 昭和17年3月
鶴八鶴次郎 (二上り新内・舞踊発表) 昭和17年3月
この人を見よ (金光教祖のこと) 昭和17年3月頃?
ウエーキ島攻略余聞 昭和17年4月
おそめ (木村富子詞・歌沢寅由喜吹込) 昭和17年9月
天川屋義平 (木村富子詞・小唄勝太郎吹込) 昭和17年9月
おんな系図 (木村富子) 昭和17年9月
出世近松 (細井雀郎作詞) 昭和18年5月
助六 (小林愛雄作詞) 昭和18年5月
花火 (舞踊発表・猿若流) 昭和18年6月
ういろう (並木詞・蔦元流演) 昭和18年6月
義農作兵衛 (四国巡演のために) 昭和18年10月
三遊亭円朝 昭和19年2月
湊川合戦 (武者小路実篤原作) 昭和19年2月
川柳三代姿 (正岡容詞・花園歌子演) 昭和19年8月
弥次喜多歌栗毛 昭和21年9月
いもどろ (戦後第1作品・花柳一衛演) 昭和22年3月
牡丹灯籠 (脇屋光伸詞・浅草桃太郎演) 昭和22年8月
累ヶ淵道行 (浅草桃太郎・豊千代演) 昭和22年8月
すずめ踊り (花園歌子社中演) 昭和22年10月
八百屋お七 (桃太郎・豊千代演) 昭和23年1月
★ぼたんどうろう 素語り 昭和23年7月
おさだ (桃太郎・豊千代演) 昭和23年9月
河太郎ぼんや通い (花柳一衛演) 昭和24年4月
鶴八れんぼ (西川扇竜演) 昭和24年6月
磔茂左衛門発端 昭和24年9月
四谷怪談 昭和24年9月
おつた 昭和24年9月
火の桂 (木下尚江原作より) 昭和25年2月
★辰巳巷談 (泉鏡花原作より) 昭和25年2月
もくず塚 (江戸川乱歩原作・花園歌子演) 昭和25年6月
復員天国 (パンパンも出る新作) 昭和25年9月
おけさ旅 (花園歌子社中演) 昭和25年11月
小原庄助 (岩佐東一郎詞・花園歌子演) 昭和25年11月
恩讐の彼方へ・木曾篇 (菊池寛原作) 昭和26年1月
★今戸心中 (広津柳浪原作) 昭和26年2月
にごりえ〜改作 (一葉原作より) 昭和26年3月
照葉狂言 (鏡花原作・松村定孝構成) 昭和26年5月
浮気の蒲焼 (京伝作品より) 昭和26年7月
成道 (里見達雄詞) 昭和27年1月
梅暦 (素語り用に) 昭和27年2月
人魂黄表紙 (高田保原作より) 昭和27年4月
おせん狐 (水木歌寿栄演) 昭和27年4月
心中宵庚申 (近松原作より) 昭和27年5月
ハムレット 昭和27年10月
松切り (忠臣蔵二段目) 昭和27年12月
組曲しんない 昭和27年12月
直侍入谷たんぼ 昭和28年1月
蝶々夫人 昭和28年4月
日本橋 (渥美清太郎詞・花柳孝衛演) 昭和28年5月
★蝙蝠安ざんげ 昭和28年6月
★次郎吉ざんげ (鈴木泉三郎原作より) 昭和28年8月
★月夜の題目舟 (鏡花・葛飾砂子より) 昭和28年11月
★明烏物語 ある日の魯中 昭和28年11月
湯島詣 (泉鏡花原作より) 昭和28年12月
★絵島生島 昭和29年4月
義血侠血 (泉鏡花原作より) 昭和29年8月
★雁 (森鷗外原作より) 昭和29年9月
たけくらべ (春は桜の賑いより) 昭和29年10月
たけくらべ (みどり正太の巻) 昭和29年10月
たけくらべ (祭りの夜の巻) 昭和29年11月
★十三夜 (樋口一葉原作より) 昭和30年2月
★おさん茂兵衛 昭和30年4月
★河童の道行 (花園歌子演) 昭和30年6月
風と共に去りぬ (復員天国改作) 昭和31年1月
菜の花盛りさんまいでん (天理教祖伝1) 昭和31年2月
光りかがやく庄屋敷 (天理教祖伝2) 昭和31年2月
雪にこころもあたたかく (天理教祖伝3) 昭和31年2月
いつまでも匂うしんじん (天理教祖伝4) 昭和31年2
月
遊女供養・浄閑寺 (塚越迷亭詞) 昭和31年6
月
死神銀座を行く (石井きんざ構成) 昭和31年6
月
そとば妻 (尾藤三柳詞) 昭和31年8月
★耳なし芳一 (小泉八雲〜話しコトバに依る) 昭和31年8月
高尾のふみ (原文そのままを) 昭和31年9月
★むじな (小泉八雲〜話しコトバに依る) 昭和31年9月
ご祝儀・寿 (尾藤三柳詞) 昭和32年2月
めし食わぬ女 (昔話〜話しコトバに依る) 昭和32年2月
啄木と小奴 (大野恵造詞) 昭和32年2月
湯島の白梅 小品 昭和32年2月
ろくろ首 (小泉八雲〜話しコトバに依る) 昭和32年3月
春琴抄 原文そのままを 昭和32年4月
うばすて 昭和32年8月
お夏清十郎 昭和32年8月
たぬき 昭和32年11月
ヨハネ福音書第8章 昭和32年11月
★ご祝儀「そば」 昭和32年11月
ゆうもあ邦楽「高砂や」 (安藤鶴夫作〜NHK) 昭和33年1月
おりき (樋口一葉「にごりえ」より) 昭和33年3月
唐人お吉 (水木久美雄詞・滝村山子演) 昭和33年3月
塵塚お松 (松本亀松詞・瀬川仙女演) 昭和33年3月
波の皷 (近松作品より) 昭和33年5月
八五郎改心 (うなぎ賛歌) 昭和33年7月
★鶴女房 (昔ばなしより) 昭和34年2月
蛙の絵本 小品集 昭和34年3月
みなえがお 昭和34年4月
首提灯 (落語ダネ) 昭和34年5月
屁ひり女房 (昔話〜話しコトバに依る) 昭和34年6月
お梅裁判 (義太夫ものを節付けしたる) 昭和34年6月
東天紅 新内追放 昭和34年7月
沖縄 昭和34年9月
野分の露 岡本宮子臨終 (石島菊枝詞) 昭和34年11月
ねずみ経 小品 昭和35年1月
なべやきうどん 小品 昭和35年1月
ねずみの道行 小品 昭和35年1月
★縁でこそあれ 辰巳の朝顔(浅草久松演) 昭和35年2月
なら山ぶし考 (深沢七郎原作〜話しコトバに依る) 昭和35年2月
お吉不動 昭和35年5月
かみゆいお吉 小品 昭和35年5月
ひとりぐらしのお吉 小品 昭和35年5月
★老木に咲く花 (ある日の魯中) 昭和35年6月
江戸っ子 小品(水木歌寿峨演) 昭和35年8月
盆の満月 小品(水木歌寿史演) 昭和35年8月
玉の井草紙 小品 (濹東綺譚より) 昭和35年9月
お雪 (濹東綺譚より)中部日本放送CBC 昭和35年11月
一葉偲ぶぐさ 小品集 昭和35年11月
★樋口一葉 一葉の死 昭和35年11月
ゆうもあ邦楽「子宝千両占」 (西川清之作〜NHK) 昭和36年1月
浦島太郎 (根本玉藻詞) 昭和36年10月
旅人かえらず (平井澄子共同作品)中部日本放送 昭和36年11月
★不審庵好日 宗徧流祖のこと 昭和36年12月
樋口一葉の四季 (藤間喜久次演) 昭和37年4月
奥のほそみち (宇田零雨作) 昭和37年4月
★深山に雪の段 (深沢七郎原作楢山節考より)昭和37年7月
★なめくじと志ん生 (古今亭志ん生記) 昭和37年8月
地獄の休日 (西川清之作〜NHK) 昭和37年8月
七福神芸づくし 昭和37年9月
★あばらかべっそん (桂文楽身の上ばなし) 昭和38年5月
★新編「にごりえ」 (労音公演のための改作) 昭和38年6月
浄閑寺 (塚越迷亭詞) 昭和38年8月
古曲「名古屋帯」 昭和38年10月
家なき子 (フランス エクトル・マロ原作) 昭和38年11月
舞踊曲「呪祖の森」 (永井啓夫作) 昭和39年4月
啞女房 (真鶴亭詞) 昭和40年11月
明治娼妓哀唱「かた糸」 昭和41年1月
★西方寺縁起 (長沢九一郎詞) 昭和42年7月
年取るということ (松岡公子作曲) 昭和42年9月
ベトナムたんぼみち (松岡公子作曲) 昭和42年9月
唐人おきち (タカクラ、テル作) 昭和42年11月
知死期の道行 (近松作、三隈治雄監修) 昭和42年11月
奥の細道 (宇田零雨作) 昭和42年11月
笑曲「地獄の休日」 (西川清之作) 昭和43年8月
笑曲「花暦八笑人」 (永井啓夫作) 昭和43年10月
竹久夢二 昭和44年8月
蘇州春雷 (野尻百合子ピアノ作品) 昭和46年3月
上海朧月 (松岡公子作曲) 昭和46年3月
パンダはお (松岡公子作曲) 昭和46年3月
円朝・恋供養 (大西信行詞) 昭和46年11月
(以下は『文弥芸談』出版以降の新作)
一葉二題(店びらき・夜桜) 平成2年3月
一葉三題(①十三夜・お関、②にごりえ・お力、③たけくらべ・美登利) 平成2年3月
お蔦返り咲き 平成3年
★冬の夜話(たぬき) 平成3年
★ぶんやアリラン 平成5年3月